2014年8月27日水曜日

喫茶店の英語

喫茶店の朝食セットは日本語で「モーニング」と言われますが、英語的にはとても奇妙な言葉だなと思います。これだと英語では「朝」と言っているだけです。

喫茶店の「モーニング」は英語で「breakfast special」などといいます。このspecialはLongmanでは下記のように説明されています。

a lower price than usual for a particular product for a short period of time: a lunch special for $4.99

日本の喫茶店でコーヒーを注文するときに言う「ホット」もそうですね。これだと「熱い」です。

アメリカにおいてコーヒーはホットであることが当たり前なので、「hot coffee」と言わなくても「coffee」だけでいいです。ただ、近年アメリカの都市部ではアイスコーヒー(iced coffee)が増えてきたので、この状況は変わってくるかもしれません。

追記  マイナビニュースに載っている「アイスコーヒーは海外にはない?」という記事にはアイスコーヒーの呼称について

アメリカなら「コールドブリューイング」と言うと伝わりやすいです。

と書かれていますが、「いや~、それはないでしょ」と思いました。メニューにもふつうに「Iced Coffee」と書かれてますからね(笑)。

2014年8月24日日曜日

スワンナプーム(Suvarnabhumi)とは何なのか?

バンコクのスワンナプーム国際空港(ท่าอากาศยานสุวรรณภูมิ)を利用したことのある人は多いと思います。開港時はぼろぼろの悲惨な空港でしたが、着々と改善されて今ではずいぶん使いやすい空港になりました。イミグレの通過にもそんなに時間はかからず、いつもスムーズです。

この空港の名前のスワンナプームとは「成田」のような国際空港のある地域の名前だと思っていたのですが、実はぜんぜん違っていました。

Suvarnabhumiの意味は「Land of Gold(黄金の土地)」なのだそうです。Suvarnabhumiは東南アジアのどこかにあったと言い伝えられていますが、どこにあったのかはわかっていません。

この前バンコクのサヤーム博物館に行ったら、Suvarnabhumiは今のバンコク周辺部にあったことになっていました。歴史というのは国ごとに創作されるものであることがわかりますね。プミポン国王がバンコク新空港の名前をこのように名付けたのもタイの歴史がそうなっているからでしょう。

スワンナプームはアルファベットでSuvarnabhumiと書きます。どうしてこれをスバーナブーミとかではなくスワンナプームと読むのかタイの大学の先生にきいたのですが、わからないとのことでした。Wikipediaによると黄金の土地Suvarnabhumi(スヴァルナブーミ)のタイ語風の訛りがスワンナプームなのだそうです。

2014年8月20日水曜日

西鉄の英語

最初にお断りしておきますが、西鉄というのは西日本鉄道という福岡の鉄道会社です。西日本旅客鉄道(JR西日本)ではありません。この西鉄の天神大牟田線に大橋という駅があります。


「大橋駅」という日本語の駅名の下に「Ohashi Sta.」(Oの上に横棒)というアルファベット表記があります。日本語が読めない外人にも駅名がわかるようにという親切なのでしょう。

西鉄は「大橋駅」を英語表記にしたつもりなのでしょうが、Oの上に横棒がある文字は「お」ではなく「おお」であることを示すローマ字です。ローマ字は英語ではないので、こんな文字はもちろんアメリカではふつう使われないし、いったい誰のための「英語表記」なのだろうか?と疑問に思いました。

大橋は「Ohashi」と書けばいいと思います。これだと「おはし」と読まれるという心配があるのかもしれませんが、上に横棒がある変な英語よりもよっぽどいいと思いました。

Stationの略と思われるSta.という表記も日本でしばしば見かけますが、私はこのような書き方が大嫌いです。省略語というのは省略しても相手が正確に理解できるというコンセンサスがあってはじめて利用できるものです。面倒くさいから省略しても相手もわかるだろうという考え方は間違っています。

例えば、英語の論文で省略語を使うとき、最初は省略せずにフルに書いておいて、二度目から読者とのコンセンサスの下で省略語を使うことが許されます。もちろん、専門雑誌に掲載される論文で読者はみんな省略語の意味がわかるというのなら最初から省略語を使ってもいいでしょうね。

StationをSta.と省略することによりその意味を瞬時に正しく理解できる人の数は確実に減ってしまいます。それなら省略などせずにStationと書けばいいのです。どうしてもスペースが足りないので省略したいときがあるかもしれません。しかし、上の写真を見ればわかる通り、スペースなら十分にあります。

しかも、これはパーソナルな言葉のやりとりではなく駅名を示すオフィシャルな看板です。誰にでも正確に意味がわかるように書くべきです。日本ではSta.と同じくらいUniv.も多いですが、こういう省略語を安易に使うべきではないと思っています。

JR西日本の英語

日本はおもしろ英語の宝庫ですが、そういうのを見ていくことで日本の英語教育の弱点が見つかるように思っています。


「EX予約/5489サービスのお受け取りが可能です。」というプレートがJR博多駅(筑紫口)の切符売り場に掲げられていました。

まだ「JR CARD」などというものがあるのかという感動はさておき、

The receipt of this service is this window.

という英訳はいかがなものでしょうか?「EX予約/5489サービス」をロゴを掲げることでthis serviceと言うのはうまい方法ですが、この英語はちょっと無理がありますね。

これだと「受領が窓口である」という不可解な文章になっています。日本語で「このサービスの受領はこの窓口です」は可能だからといって、それを直訳するのは危険です。

実は「EX予約/5489サービスのお受け取りが可能です。」という日本語もおかしいと思います。受け取るのはサービスではなく切符ですよね。この変な日本語に英訳の方も連動してしまっています。

「クレジットカードご利用の際に、暗証番号が必要な場合がございます。」を

When the credit card is used, the password might become necessary.

と英訳するのも後半が特に美しくないです。クレジットカードの認証に必要な4桁の数字はPINと呼ばれることが多いです。

You may need to enter the PIN when using the credit card.

とか書いておけばいいのではないでしょうか?JRの窓口は経験的にはいつも「ここにサインして下さい」ですが。

2014年8月7日木曜日

ターキッシュエアラインズ(笑)

最近トルコ航空という表記を見なくなったと思いませんか?2014年2月より日本語名をターキッシュエアラインズに変更したそうです。

英語のTurkish Airlinesをカタカナにしたわけですが、ターキッシュエアラインズなんて言いにくいし、トルコ航空で完全に日本語の中で定着していたのに(しかも親しまれていたのに)、この変更はひどいと思います。

ターキッシュエアラインズはいくらなんでも長すぎます。これを考えたトルコ航空...じゃなくてターキッシュエアラインズの中の人ってどこまでバカなんでしょうね。

似たような例に、スイスインターナショナルエアラインズ(LX)があります。こういう長大な横文字は日本語ではだめだめですね。スイス国際航空の方がどれだけいいかわかりません。経営破綻したスイス航空(SR)と区別したかったのでしょうが、日本語の名前をつけるときには日本人の意見もきいた方がよかったと思います。

ところで、トルコ航空は現地語では「Türk Hava Yolları」と書きます。読み方は「トゥルク ハワ ヨルラル」と聞こえるのですが、いつもトルコ語の発音が悪いとトルコ人に怒られているのでたぶん違うでしょう(笑)。Havaの意味は空気、Yollarıは道なので、その意味は「トルコのAIR WAY」になります。まさにTurkish Airlinesそのままですね。

アシアナ航空は英語ではAsiana Airlinesで、エイジアナエアラインズと読みます。なぜ日本語ではアシアナなのかと言うと、韓国語でアジアはアシアと言うそうです。ちなみに、アシアナ航空は韓国語ではアシアナハンゴン(아시아나항공)です。

一度日本語の中で定着した言葉を変更するのは簡単なことではないことも強調しておきたいです。ANAは会社の名前をエー・エヌ・エーと呼んで欲しいようですが、たいていこれまで通りアナと呼ばれてますよね。どこにエー・エヌ・エーなどと長い名前をバカ正直に呼んであげている日本人がいるのでしょうか?ちなみに、NYで乗ったタクシーの運転手はアーナと呼んでいました。

北京はBeijingかPekingか?

日本語では中国の首都・北京をペキンと読みますが、英語ではBeijingとしばしば表記されます。中国語でも北京はベイジンと呼ばれています。

しかし、ペキンは日本語だけで使うというわけではなく、Pekingという英語表記は実際にあるし、北京大学は英語でPeking Universityと名乗っています。

その理由はこのページに簡潔にわかりやすく書かれています。

Why was the capital of China once called Peking but is now called Beijing?

Prior to 1958, the Chinese government used the Wade-Giles system to transliterate Chinese characters into the Roman alphabet. After 1958 the government switched, and the rest of the world followed, to the pinyin system of transliteration so now we call the capital city Beijing (pinyin) instead of Peking (Wade-Giles).


どうして中国の首都はかつてペキンと呼ばれていたのに、今ではベイジンなのですか?

1958年以前、中国政府は中国語の文字をローマ字で書くときにウェード(Wade-Giles)式を使っていました。1958年以降、中国政府はローマ字表記法をピンイン(pinyin)に切り替え、世界各国もそれに追随しました。そういうわけで、今では私たちは中国の首都をウェード式のペキン(Peking)ではなく、ピンインのベイジン(Beijing)と呼んでいます。

北京大学は政府の決定に安易に追従せず、頑なに伝統を守っているということですね。日本語では外国の都市名をできるだけ現地読みに近いカタカナで表記していますが、その法則に従うならばベイジンと書くべきなのかもしれません。しかし、一度日本語として定着してしまったものを変えるのは難しいということでしょう。

「飛んでイスタンブール」という歌が昔流行ったせいで、トルコの首都はイスタンブールと呼ばれていますが、現地語では明らかに「イスタンブル」です。

どこかのバカな人が最初に「ラムサール条約」(特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約)と書いてしまったので、日本では誰もがこれで覚えてしまっていますが、イランの現地に行くと明らかに「ラームサル」です。こういう例は日本語にはいくらでもありそうです。