2013年8月21日水曜日

大学におけるfacultyとstaff

大学の公式サイトはおもしろくもなんともないですが、学生が作ったのかなと思われる素人的なデザインの研究室のサイトは見ていて微笑ましく、また楽しいです。

しかし、大学の研究室のサイトのコンテンツはだいたいどこも同じです。研究紹介があったり行事やお知らせがあったりといったものです。研究室に所属している先生や学生の名前の一覧ページもたいていあります。

ホームページから教員一覧のページへ飛ぶリンクにはしばしば「スタッフ」とか「Staff」とか「Stuff」とか「Staffs」とか書かれています。

このStaffsはどうしようもないです。いつからstaffは数えられる名詞になったのでしょうか?Stuffは言わずもがなですね。こういうことを最高学府の先生(学生)が書いてはいけないです。

そして私の知る限り、アメリカでは大学の教員のことをfacultyと言って、staffとは言いません。staffは大学の事務職員などのことです。それなのに、日本中の大学でstaffを当たり前のように使っているのはどういうことなのかなと思っています。

facultyは学部の意味じゃないの?と思われるかもしれませんが、アメリカでは学部のことはfacultyとはふつう言いません。学部に相当するのは、school/college/departmentでしょう。

大学という教育システム自体が文明開化によって欧州からもたらされたものなので、それ以来イギリス英語のfacultyが日本で使われているのかな?と思うのですが、これだけアメリカ英語が世界のスタンダードになりつつあるのに、頑なにfacultyを使う(そして、それが絶対的に唯一正しい英語だと誰もが信じている)のはどうなのかと思っています。こんな人たちが大学の国際化とか声高に叫んでいるのは可笑しいですね。

Logic doesn't always rule the way English works

このブログで私が強調したいのは、英語には文法的に間違っていなくてもふつうはそうは言わないという表現がいくらでもあり、英語を書くためには英文法の習得だけでは不十分で、英語の語感を身につけることが大切であるということです。

これについて例を挙げて説明してみます。

海外で英語でプレゼン(研究発表等)をする日本人には、「Thank you for your listening.」で締める人が多いようです。

しかし、このサイトによると、この表現は文法的には間違っていないのですが、ネイティブと言われる人たちは使わないとのことです。その理由として挙げられているのが、「redundant(冗長である)」というものです。youとyourであなたが二度繰り返されていてくどいので、「Thank you for listening.」ならよいという結論になっています。

Logic doesn't always rule the way English works!

は英語学習者が肝に銘じるべき言葉ですね。

さて、こういう英語の語感を外国人が身につける最も有効な方法は英語を多読することです。これは決して私の個人的な経験に基づく個人的な主張ではなく、アメリカの大学のESLの授業で聞いたものです。英文を多読することによって、英語を話す力も聞く力も伸びるということだったのでぜひとも試してみて下さい。

eチケットの英語

この前中国東方航空の飛行機でタイに行ってきました。この航空会社を使ったのは航空券がとても安かったからです。お盆のいちばん混雑した時期に燃油サーチャージを含めた料金・税金込みで4万円ちょっとなんて驚きでした。

その代わり安いだけのことはありますね。LCCも真っ青な地獄のような修行フライトでした(笑)。

さて、このチケットは日本のHISのインターネットサイトで購入しました。eチケットはINFINIのTrippleという予約・発券システムからダウンロードできるようになっています。


このeチケットには日本語と英語が併記されているのですが、英語の方を読むのが私の習慣になっています。

ターミナルのところで、INTERNATIONAL TEで改行されてRMINALとなっているところなど、たいへん読みづらく気に入らないです。こういうところで折り返すことに何の違和感も感じないのが日本人のダメな英語感覚だと思っています。

いちばんひどいのが最下部の諸注意の部分です。よくもまあ、こんなろくでもない英語が書けたものだと思いました。文法的に間違っているとまでは言えないのですが、英語に対する語感が働いていない典型的な日本人の英語です。


こういうアホな英語を書かないようにするためには、英語の文章を多読することで言語感覚を身につける以外にありません。

JRの英語アナウンスは間違っている?

This is the Yamanote Line train bound for Ueno and Ikebukuro.

Please change here for the Chuo Line and the Ginza Subway Line.

といった英語のアナウンスを東京で山手線に乗ると耳にします。これらのアナウンスは間違っているという話がこちらにありました。どこが間違っているのかわかりますか?

最初の文ではthe Yamanote Line trainをa Yamanote Line trainに代えなければなりません。このままだと山手線の中を走っているたった一つの列車という意味になるからです。

これにはなるほどと思いました。この前このブログに書いたmy friendとa friend of mineの違いの話と同じですね。my friendがいきなり出ると友だちが一人しかいないと思われるとのことでした。

その次の文には2つの間違いがあるとのことです。Please change hereだと全員に降りて下さいと呼びかけているみたいなので、Change hereにせよとのことです。これは言われてみれば確かにそう感じるのですが、私はほとんど気になりませんでした。なぜなら、アジアの国々の英語アナウンスはPleaseがつくことが多いからです。私の英語はかなりアジア英語に毒されています(笑)。

相手のためを思って言っているなら、命令形でも失礼にはならないという英語の法則を思い出しました。pleaseをつけなければ失礼でつければ丁寧になるというのはアジア人共通の誤解なのだろうと思います。

もう一つの間違いは、the Chuo Line and the Ginza Subway Lineのようにandを使うと、両方へ同時に乗り換えるという意味になるので間違っているというものです。これも私には気になりませんでしたが、厳密に考えればorの方がよいのでしょうね。

JRの英語アナウンスは「そこらの英語の話せるアメリカ人(?)」が作ったようで、 英語の専門家から見ると厳密には正しくはないようです。ただ、これらの間違いはネイティブと言われる人たちにとっても、それほど気にならないマイナーな誤りと言っていいようです。

2013年8月7日水曜日

日本人の英語学習

英語の難しさ(それゆえのおもしろさでもあります)は何なのかというと、英語の言語感覚が必要とされることです。ゆえに、数学や物理が完璧にできる天才的な人でも、英語を書くとぼろぼろという日本人がたくさんいます。

美しい英語は数学や物理のようにロジックだけでは書くことができません。なぜなら英語は一定のルールに従ってはいるのですが、たとえ文法として間違っていなくても「ふつうはそうは言わない」という事例が山のようにあって、慣例に従って書くしかないからです。

数学や物理が得意な日本人の書いた英語は確かに文法的には問題はないようですが、それを読んでみると、スムーズに言葉が流れないでこぼこ感、がたがた感があって一見して日本人が書いたんだろうなとわかってしまいます。

英語ができるかどうかは結局幼少時から身につけた言語感覚に尽きると言ってしまえば、我々外国人には取り付く島もないことになっておもしろくはありません。しかし、そのような言語感覚は日本にいながらでも身につけることができるのです。

最も有効な方法は英文を多読することです。わからない単語が出てきても無視して読んで読んで読みまくるというのがいちばん有効です。さらには、英語の映画やドラマなどを見て、音やリズムの感覚を身につけることでしょう。これくらいなら日本にいても十分実行することができます。

それでも、英語には日本人には越えられない壁があるのは確かです。ほとんどのアメリカ人がロジックをわかっていないのに、彼らが母国語を習得する過程で身につけた感覚で付けたり外したりしている冠詞は本当に難しいですね。

しかし、英語を軽々と使いこなしているドイツやフランスや北欧の人たちくらいのレベルには我々でも十分に達することができます。アメリカ人やイギリス人みたいになろうとするのはたいへんなこと(たぶん無理)ですが、我々が目標とするのは大陸ヨーロッパの人たちに絶対に負けないくらいの英語でいいのではないでしょうか?

最後に...毎日10分間聞くだけで英語が話せるようになるとか書かれている教材は信用しない方がいいです。聞かないよりは聞く方がいいのでしょうが、たいした努力もしないで外国語が身に付くなどありえないことですね。

アパートの住所を書く方法

通販の利用などで海外の外国人に自宅の住所をアルファベットで伝えないといけないときにいつも困っているのがアパート名です。

日本の不動産関係者は国際感覚のない人たちばっかりなので、アパートに変な名前をつけているんですよね。

私が前に住んでいたアパート(ワンルームマンション)は「ファンハウス」、今住んでいるところは「セジュール」です。

高級感を出したくて、こういう外国語を使っているんでしょうけど、これを英語で書こうとするとたいへん困ります。ファンハウスは英語なので、「Fun House」と書くこともできるのですが、さすがにそうしたいとは思わないですね。

こういうカタカナ言葉の氾濫を見るにつけ、日本人というのは未だに横文字にすればなんでも格好いいと思っているのかなと考えてしまいます。欧米は格好いいという思考は昔から全然変わってないんでしょうね。

さて、アメリカではアパートのある住所はしばしばアパート名を書かずにApartmentの省略形のApt.や#(パウンド)記号を使って

XXXX Feather Pl., Apt. 6
Davis, CA 95616

XXXX Feather Pl., #6
Davis, CA 95616

などと書きます。郵便物に書く住所はこれとはまた少し違うので、USPSの指示に従って下さい。

それでは、日本の住所の場合はどうすればいいのでしょうか?Apt.や#は日本の郵便配達の人にはわからないと思われるので、使うのはやめておくことにします。

XXX-X Nishikawatsu-cho, Fun House 102
Matsue, Shimane 690-0823
Japan

XXX-X-102 Nishikawatsu-cho
Matsue, Shimane 690-0823
Japan

上記のような書き方が考えられますが、アパート名には変な名前が多い、しばしばスペルがわからない、ということを考えて下の方を採用しています。

ちなみに、手紙を投函するポストは日本人がよく使ってしまう和製英語なので注意した方がいいです。アメリカではポストのことをmailboxと言います。郵便受けもmailboxです。

「〒」(郵便記号)について

インターネットに転がっている英語による日本の住所の書き方ってどうしてこんなに「個性的」なんでしょうね?いくら正解はないと言っても、それはないんじゃない?と思うものも多数あります。

例えば、この書き方はどうでしょう?

2-3-4 1-Chome
Shinjyuku-ku, Tokyo-to, 〒123-4567
Japan

「新宿区1丁目」なんてあるの?とまず思ってしまいますが(新宿区四谷1丁目ならありますが)、私が気に入らないのは「〒」です。この記号は郵便番号の前につけますが、日本だけでしか使えません。アメリカ人が見たら意味不明でしょうね。

「〒」(郵便記号)はもちろん英語フォントにはないので手書きにしないと打ち込むこともできません。

こういう記号を平然と英語の世界に持ち込む日本人が多くて、そういうのを見るたびにいらいらしています。「〒」が世界共通の記号だと思っている日本人はとても多いですね。

日本の住所の英語表記

三菱UFJニコスのETCカードの裏面に同社の住所が日本語と英語で書かれていました。

三菱UFJニコス株式会社
〒113-8411 東京都文京区本郷3-33-5

Mitsubishi UFJ NICOS Co., Ltd.
33-5 Hongo 3-chome, Bunkyo-ku
Tokyo 113-8411 Japan

日本語の方には3丁目という表記はないのに、英語の方に3-chomeと書かれているのは微笑ましいですね。

ここからわかることは、英語で住所を書くことになった三菱UFJニコスの担当者がインターネットか何かで英語による日本の住所表記法を調べて、それに合うように必死に書いたんだろうということです。

日本の住所表記は郵便や宅配便の配達の人がわかりやすいものがいい(日本語がベスト)と思うのですが、アルファベットで書かないといけないときはどうすればいいのか、決まった答えはないでしょう。

私が好きな日本の住所の書き方は以下のものです。

3-35-5 Hongo, Bunkyo-ku
Tokyo 113-8411
Japan

-kenとか-shiとか-chomeはシンプル表記にするために省略していますが、-kuや-choがないと郵便配達の人がわかりにくいかもしれないので残しています。Tokyo 113-8411はアメリカのCA 95616-5270のような表記に習っており、Tokyoの後のコンマはなしです(アメリカではふつう州名と郵便番号の間にコンマは入れません)。もちろん、これが正解と言っているわけではないですが、私はこの書き方が好きなのです(笑)。

2013年8月5日月曜日

baggageとluggageの違い

高校生だった時、baggageはアメリカ英語でとluggageはイギリス英語だと学校で習いました。実際、英和辞典にそのように書いてあったので、そうなんだろうなと信じていました。

しかし、実際にはアメリカでもluggageはいくらでも使われているし、イギリスでもbaggageという言葉をたびたび目にします。

それではこれらの言葉は何が違っていて、どのように使い分ければいいのでしょうか?

luggageはスーツケースなどの荷物の容器のことで、baggageは一般的な手荷物のことを言います。

luggage(スーツケース)に荷物を詰め込んで旅行に持ち出せば、それはbaggage(手荷物)でもあり、空港や駅などの表示ではどちらも使えることになります。例えば、手荷物一時預かり所はleft luggageでもleft baggageでもいいことになりますね。

baggageとluggageの違いについてまとめたわかりやすいサイトがありました。

'Luggage' = suitcases, bags, etc. whether they're full or not.
'Baggage' = suitcases, bags, etc. that have been packed and that are carrying the stuff you travel with.

ここには、luggageはお店で買うことができますが、baggageは買うことができないという説明もあります。それはそうですよね(笑)。

アメリカの鉄道会社Amtrakのサイトには以下のような注意書きがあります。

Please be sure to pack your baggage using sturdy luggage or containers that are capable of withstanding expected handling.

これらのことからも、baggageとluggageの違いは明らかで、アメリカ英語とイギリス英語でばっさり分けるのは間違っているということになりますね。

capとhatの違い

日本の中学校の英語の授業でcapとhatの違いについて習いました。それによると、capは野球帽のようなつばのある帽子、hatはつばのない帽子とのことでした。帽子を絵を見て、これはcapですか?hatですか?という問題が試験にも出ていました。

こういうことを今でも教えているのかどうかわかりませんが、アメリカではそうはなっていません。帽子売り場に行けばわかると思いますが、hatというのは帽子の総称であって、capもそれに含まれています。だから、アメリカのデパートの帽子売り場では、hatと書かれたところにcapも売られています。

アメリカに住んでみてわかったのですが、日本の学校で習った英語というは本当にうそばっかりですね。

何年か前、研究社の英和辞典には、今どき使えない古典のような例文がたくさん載っていると大騒ぎになったこともありました。

なぜ日本の英語はこんなひどいことになっていたのでしょうか?おそらくは当時の日本の大学で英語を研究していた先生がだめだったのだと思います。シャークスピアとか古典を読んでいるだけで、実践的な英語が全然できていなかったのでしょう。

今ではインターネットの普及もあってアメリカから英語の情報がダイレクトに入ってくるようになり、さすがに状況もよくなっていると思います。しかし、昔私にツイッターで文句を言ってきた大学の英語の先生があまりに低レベルだったので、アカデミックな世界は相変わらずなのかもしれないなと思ってます。