2013年7月31日水曜日

英語上達には英語で日記

日本にいながら英語が上達するようになるには、とても短いものでいいから日記を書いて、それを先生にチェックしてもらったらいいというお話です。でも、そんな先生がどこにいるのでしょうか?

日記の英語を添削してくれる先生が本当にいたら、毎日がどんなに楽しいことでしょう。そんなことをやってもらえるなら、毎日大喜びでブログを英語で書くのにと思いました。

rain cats and dogs

「rain cats and dogs」は高校生のときに大喜びで覚えたのに一度も試験に出なかったイディオムです。私はYouTubeのこのビデオが大好きで何度も見ています。バンクーバー在住の香港人でしょうか?アジア人の英語はわかりやすいですね。

2013年7月30日火曜日

my friendとa friend of mineの違い

英語の勉強をしていて、次のような文章はおかしいという話を聞いたことがあるのではないかと思います。

My friend will come to visit me next week.

それはmy friendをa friend of mine(あるいはone of my friends)にしないと、友だちが一人しかいないという意味になるからということでした。

その理由は、myのような所有限定詞は定冠詞の代わりに使われるからです。つまり、my friendは(a friend of mineではなく)the friend of mineになるということです。

ゆえに、会話をしている二人がこの友だちの情報を文脈の中で共有していないのにいきなりmy friendと言えば、それは友だちが一人しかいないことになります。

一方、会話をしている二人がこの友だちの情報を文脈の中で共有していてmy friendと言ったならば、その文脈で共有している友だちのことでしょう。

しかし、友人を紹介するときにいきなり

This is my friend Ted.

と言っても、友だちが一人しかいないとは思えません。それはなぜなのでしょうか?

my friendとa friend of mineの違いについて、このページがとてもわかりやすく現実的な説明ではないかと思います。

There is no major difference in meaning between my friend and a friend of mine - only some subtle differences in usage. A friend of mine is a little more “distant” or non-specific about the person.

要するに、my friendはa friend of mineに比べて少しだけ、友だちとの関係が近い状況、友だちが特定されている状況で使われるというものです。両者の意味の違いはそれほど大きくはなく、使い方においてわずかな違いがあるだけということです。

長い言葉は短くなるという言語の法則によって、a friend of mineと言うべきところが、口語ではmy friendになっている現実もあると思っています。

貧困なる和製英語

和製英語を日常的に使っていると、そういう言葉が脳の中にインプットされてしまい、外国人との会話で思わず口から出たりすることがあります。

和製英語に見られるカタカナ言葉を多用することが、日本語の文化を崩壊・変質させている面もあり、こういう言葉を使うことには慎重であるべきです。

和製英語の中でも見たり聞いたりするたびに、アイタタタと心が痛むのはノーマイカーデーです。

マイカーというのは「my car」であって、文字通り私の自動車という意味です。しかし、この言葉は決して自家用車全般(private vehicle)を意味していません。だから、ノーマイカーデーという言葉は英語的に意味をなさないのです。

それにしても、ノーマイカーデーは美しくない日本語ですね。似たような言葉にノー残業デーというのもあることを思うと、ノー○○デーと一般化できそうです。

マイナンバーという共通番号制度が導入されようとしていますが、これも英語的にも日本語的にも残念な言葉です。こういう貧困な言葉しか生み出せない日本の官僚(言語能力の衰えたオヤジの集団)のセンスが嘆かわしいです。

ちなみに、交通渋滞による大気汚染が深刻なカリフォルニアのベイエリアではノーマイカーデーのことを「Spare the Air Day」と言います。日本語とは言葉のセンスが違うと感じますね。この日はベイエリアの多くの公共交通が無料になってお得です。

2013年7月29日月曜日

男は言語能力が低い

ハーバード大学で学長をしていたサマーズ(元財務長官、次期FRB議長の有力候補)がトップクラスの科学者に女性が少ない原因について持論を展開したところ、フェミニストから猛烈な批判を浴びました。

今の世の中では男より女が優秀だとは言ってはいけないみたいですね。というわけで、いかに女が優秀かについて書きたいと思います。

言語能力にかけては女が男よりも圧倒的に上です。外国語を軽々と習得してぺらぺらと流暢に話しているのはたいてい女です。

男はもともと言語能力が女よりも低いのですが、特におやじと言われる年齢になると外国語はもちろん日本語の運用能力についても急速に低下するようですね。

熟年夫婦の間のすきま風もしばしば、話をしたい女と話すのが面倒くさい男のすれ違いから起こっているのではないでしょうか?

おやじギャグという言葉は本当によく現実を表していて、男はおやじと言われる年齢になるとだじゃれを口にするようになります。

言葉を組み立てて話ができない言語能力の衰えた男が、音の類似性だけに反応して言葉を絞り出した結果がおやじギャグです。経験的にも言語能力の低い男の方がおやじギャグを口にする率が高いです。せっかくなので笑ってあげましょう(笑)。

ちょっとロスに(笑)

長い言葉を短く言うのは言語における世界共通の法則だと思っています。この法則について例外を見つけたことがありません。

例えば、トルコ語でありがとうは「テシェキュレデリム」なのですが、長いので「テシェキュレル」と言ったりします。

ペルシャ語でありがとうは「ヘイリーマムヌーン」なのですが、やはり長いのでみんな「メルシー」と言っています。「それはフランス語じゃないのか?」と問いたくなりますが、フランス語そのままです(笑)。

日本人はロス・アンジェルス(Los Angeles)をしばしばロスと略します。日本の新聞でもロス市警とかふつうに書かれていますね。

でも、こういう単語を省略するとき英語では頭文字を使います。だから、ロス・アンジェルスはロスではなくエル・エー(LA)です。先ほどのロス市警はLAPD(Los Angeles Police Department)ですね。

ロスというのは日本の新聞記者のおやじが言い始めたのではないかと想像しています。インフルエンザをインフルと言うような人たちですからね。本当にセンスないです。

ちなみに、サンフランシスコ(San Francisco)はエス・エフ(SF)です。これが最も一般的な略称で、日本でよく言われるシスコ(Cisco)はふつうは使われないと思います。

アメリカでシスコと言えばCisco Systemsですが、このシスコという会社名は実はサンフランシスコに由来しているというトリビアがあります。シスコのロゴはゴールデン・ゲート・ブリッジですね。

スムースかスムーズか

物事がスムーズに進行するなどと日本語では言いますが、ときどきスムースと書いている人がいます。

ある時代に日本の学校で、日本語ではスムーズだけど英語ではスムースなんだよと教えた先生がいるようです。実は私もそのように聞きました。

中学や高校の先生の英語はアレなので、彼らの教えていることは全く信用ならないですね。高校までに習った英語はさっさと忘れましょう(笑)。

smoothの発音はDictionary.comで確認することができます。

日本人は英語におけるスとズの発音を極めていいかげんに捉えていると思います。

tigersをタイガーズと読める人はどれだけいるのでしょうか?いちばんひどいのはladiesやladies'でしょうね。どこに行ってもカタカナでレディースと書かれていますが、この発音では聞き取ってもらえないでしょう。looseをルーズと書くのもカタカナ英語の特徴ですね。

松井選手がいたニューヨーク・ヤンキースも正しくはニューヨーク・ヤンキーズです。

和製英語のアップ・ダウン

日本ではリストアップするという言葉をよく使います。辞書で調べることをlook upと言うことからも、list upはいかにも英語でもありそうな言葉なのですが、完全な和製英語です。

どうしてこんな本物っぽい和製英語が日本で生まれたのかとても興味がありますが、その語源はどこにも書かれていないようです。和製英語がどのように生まれたかはたいていわかりません。

アップ、ダウンは和製英語に多いという説はあるようです。

イメージアップ
スピードダウン
ベースアップ
レベルアップ
コストダウン

リストアップはこの系列とも考えられますが、これらと違って特に上下の意味はないので、やはりリストアップだけが特殊なのかなと思いました。

ちなみに、英語ではリストアップすることを単純にlistと言います。

2013年7月27日土曜日

ハーティー割引

日本語として定着しているハートフルという言葉はほぼ完全な和製英語です。「心からの」という意味だと思いますが、「heartful」は通じません。

巨大な英和辞典には「heartful」が載っていることがありますが、一般的な言葉ではなく和製英語と認定できるレベルだと言えるでしょう。

携帯電話会社が「ハートフル割引」という言葉を使っていましたが、最近は見なくなったような気がします。私が使っているドコモは「ハーティー割引」です。

ドコモはハートフルが和製英語だと知って意図的にこの言葉を避けたのではないかと思っています。しかし、ハーティー(hearty)という言葉は日本語として決して定着しているものではないので、「ハーティー割引」と言うのはかなり無理がありますね。日本語として意味がわからないのです。

「リスク」「ケア」「トラブル」「コンシェルジュ」など理解できない外来語が多く使用されていることで精神的苦痛を負ったとNHKに141万円の慰謝料を求める訴えが起こされたというニュースが最近話題になりましたが、その前にドコモを訴えて下さい(笑)。

「NG」は優秀な...

最近とても気になっている日本でよく使われている言葉が「NG」です。それなりに公式な文書に「○○はNGです」と書かれていて驚くことがあります。もちろん、ネットには「NG」という言葉がいくらでもあふれています。

私もさんざん見聞きしていて「NG」の意味がわからないわけではないですが、日本以外では見たことがないし、何の略なのかまでは知らないので、Googleに「NGとは」と入れて検索してみました。「no good」の略なのだそうです。「no good」はともかく、アメリカで「NG」って言うかなあ?

私には美しい日本語を書ける能力はありませんが、さすがに「NG」を日本語の中に織り交ぜて書くほど無神経ではありません。日本語の中に書く「OK」ですら十分気色悪いのに、「NG」はいくらなんでも酷すぎませんか?

「NG」なんて言葉を書いている(言っている)人や会社は、その程度なんだろうなと判断すればいいですね。「NG」は優秀なバカ発見器です(笑)。

ワンマン、ワンタッチ、ワンプッシュ、ワンコイン

コインランドリーのように和製英語と思っていたら、実際に英語圏の国に存在していたというのはときどきあることで、どんな言葉でも100%和製英語であると言い切るのは難しいと思ってます。どこかの国に反例が存在することはとても多いのです。

しかし、数少ない反例をもって英語圏の国で広く通用すると主張するのも無理がありますね。

和製英語かどうかが微妙なのがワンマンとかワンタッチとかワンプッシュとワンコインなどという日本では一般的なワンのつく言葉です。

ワンマンはLongmanにも次のように載っています。

one-man [only before noun]
performed, operated, controlled etc by one person

ワンタッチも「one-touch operation」といった用例はあるようですが、そんなに一般的な言葉ではないと思っています。ワンプッシュになるともっと珍しいです。


ワンコインは和製英語の度合いが最も高いと思っています。なぜなら、アメリカでは1ドルコインはほとんど使われていないので、実質的な最高額が25セントコイン(quarter)になっているからです。25セントではたいしたものは何も買えないので、ワンコインという言葉が500円硬貨がある日本と同じように使えるはずがありません。

アメリカにおける使用頻度で言えば、ワンマン>ワンタッチ>ワンプッシュ>ワンコインではないでしょうか?(私はどれも聞いたことがないですが。)

2013年7月26日金曜日

justの奥深さ

英語でよく出てくる単語にjustがあります。たいていonlyやexactlyの意味なのですが、文脈によって変化する幅広い意味があり、justが文中にあることで意味が大きく変わることもあります。

例えば、「Just do it!」と言えば、「つべこべ言わずにやれ!」の意味になったりします。

私がjustの奥深さを感じたのは、レストランでよく使われる「Just water, please.」です。「飲み物は何になさいますか?」というよくある問いに対して答えるときの「水を下さい」という意味なのですが、アメリカだと水は通常無料で出てくるので、チップ収入が大きいウェイター(ウェイトレス)にとってはうれしいことではありません。

そういうアメリカで私がこのjustに感じるニュアンスは、「水なんて注文してすみません。でも、私には有料の飲み物を注文するほどお金に余裕がないのです。水があなたの利益にならないことは十分わかっています。それは心苦しく思っているのですが、今は水を持ってきて欲しいのです。」というものです。

それだけの意味を「Just water, please.」というたったの三語で伝えられるのだから、英語はすごいと思ってしまいます。

また、お店で商品を見ているだけのときに店員さんに声をかけられることがあります。「May I help you?」ですね。そこで「Just looking, thank you.」と答えるのが常套句です。これは「見ているだけですみません。でも、私は今のところただ商品を見たいだけで、あなたのお手伝いは必要としていないのです。見ているだけではあなたのお店の利益にならないことは十分わかっています。それは心苦しく思っているのですが、もしかすると買うかもしれないので、今はそっとしておいて下さい。」というものでしょう。

これだけの意味をやはり「Just looking, thank you.」という四語で伝えられるのだからすごいと思ってしまうのです。

2013年7月25日木曜日

ホームドアのあれこれ

日本のおもしろい和製英語にホームがあります。これがhomeなら別にいいのですが、鉄道の駅にあるplatformなので和製英語に認定です。

なぜ昔の日本人はplatformを...フォームと書かずにホームと書いてしまったのでしょうね?こういうニッポンのオヤジ的言語感覚が私にはたいへん気持ちが悪いです。

これは日本人がいかに英語の音が苦手であるか、つまり、いかに英語の音を正しく聞き取ったり発音したりできないか、ということの現れだと言えるでしょう。

ホームが和製英語ならホームドアも当然和製英語ということになりますね。Westinghouseというホームドアを作っている会社はPlatform Screen Doors (PSD)と呼んでいます。Westinghouseによると、PSDには以下の3種類あるようです。

Platform Screen Doors (PSD): 大分類のPSDと同じ名前というのがややこしいのですが、ホームから天井までを完全に遮るタイプのホームドアです。ホームの空調を考えればこれが最も優れていますが、既設のホームを後から改修する場合、この方法を採用するのは難しくなります。


Platform Edge Doors (PED): これはホームから2.3~2.5mくらいの仕切りを設けて、その上側には仕切りがないものです。この方法であれば既設のホームを改修する場合にも使えます。


Platform Screen Gates (PSG): これはホームから1.3~1.7mくらいの仕切りを設けるもので、ば既設のホームを改修する場合にもいちばん簡単に設置することができます。人間が乗り越えようと思えば乗り越えられるため、安全面ではPSDやPEDに劣ります。


こういう新しい言葉はまだ英語圏の隅々まで浸透してはいないだろうし、何と言うのか知らないという人は英語圏にも多いことでしょう。ただ、驚いたことにあの英辞郎にもまだ載っていないようです。

2013年7月24日水曜日

飛行機の夏ダイヤ

和製英語は興味深い日本の英語文化だと思っています。空港連絡バスをなぜか日本ではリムジンバスと誰もが呼んでいて、日本の真似ばかりしている韓国がやはりリムジンバスと呼んでいて笑ってしまうとか、いろいろ楽しいことがありますね。

コインランドリーは和製英語だと言われていて、日本の英和辞書にはcoin-operated laundryなどと説明調に書かれていますが、実はアメリカやオーストラリアの街角でときどき見かけるということもありました。ちなみに、アメリカのMotel 6は公然とcoin laundryと表記しています。

最近とても気になっているのが、飛行機の夏ダイヤとか冬ダイヤという表現です。このダイヤはもちろん英語の「diagram」(図表や略図)から来ているのですが、これは主に列車がすれ違ったり追い越したりする鉄道で使われるものです。

2地点間をダイレクトに移動する飛行機には「diagram」はもちろん必要ありません。

しかし、「ダイヤ=運行時刻」のような意識を刷り込まれてしまった日本人は「○○航空が冬ダイヤを発表」などと言ってしまうわけですね。それを聞いても何も違和感を感じないなら、そういう人はやはり「ダイヤ=運行時刻」という意識が頭に刷り込まれてしまっているのでしょう。

和製英語は言語学的にも文化的にもとてもおもしろいものなのですが、英語を使いこなそうとするならこれほどやっかいなものはありません。

私も経験がありますが、うっかり和製英語が口から出てしまって相手に理解されなかったときの「あー、やっちゃった」感がなんとも恥ずかしいです。英語を書くときにも和製英語は深層心理のレベルで様々な悪影響を及ぼします。

夏ダイヤ、冬ダイヤはそれぞれ夏スケジュール、冬スケジュールと言うようにしてはどうでしょうか?スケジュールなら英語でも大丈夫です。

やはり、Did you know ...?

この前、トリビア的な知識を問うときにしばしば「Do you know ...?」ではなく「Did you know ...?」が使われるという記事を書きました。

そしたらタイムリーなことに、今日の授業中に学生の持っていたかばんにもこの表現がありました。


「Did you know that one in four American adults suffers from high blood pressure?」(4人に1人のアメリカの成人は高血圧に苦しんでいることを知っていますか?)で話が始まっています。

こういう問いかけから話を始めることで人々の興味を引くのは英語ではとても一般的な方法です。日本語ではあまり見かけないので、英語的な表現と言えるのではないでしょうか?

そして、このときよく使われるのは「Do you know ...?」ではなく「Did you know ...?」です。現在形の問いかけはあなたがその答えを知っていることを私は期待しているという意思が感じられる直接的な言い方です。例えば、下の例文のように使われます。

Do you know what time the next bus comes?

ゆえに、トリビア的な知識を問うときは相手が答えを知っていることを期待しない遠回しで距離感のある「Did you know ...?」がよいということでした。

それにしても、SuffersとSが大文字になっている理由がよくわかりませんね。sは大文字と小文字の区別がつきにくいので、印刷屋さんが間違えたのかも?

2013年7月23日火曜日

jumbo mugが欲しい

日本語でもときどきあることですが、「これ、英語でなんて言うんだっけ??」と悩むことがあります。今日の悩みはこれでした。


これはアメリカの有名なテレビドラマ「Friends」に出てくるニューヨークのカフェ「CENTRAL PERK」のコーヒーカップです。こんな大きなカップでコーヒーを飲んでいるのがとても印象的なドラマでした。

さて、その昔所用でアメリカに住んでいたとき、家にはこの手のカップが一つあっただけでした。これ一つでご飯でもインスタントラーメンでも何でも食べることができました。未だに家ではアメリカで買ったこのカップで何でも犬みたいに食べています。

しかし、こういうカップを日本で買おうとしたらなかなか見つかりませんね。アメリカだと大学のブックストアや国立公園のギフトショップなどいろんなところでご当地デザインの素敵なカップが買えるんですが。

さて、この大きなコーヒーカップを英語で何というかネットで調べた結果ですが、「jumbo mug」と書かれているところがたくさん見つかりました。アメリカは何でもジャンボですね。こんなのもありました(笑)。

2013年7月21日日曜日

Do you know ...? それともDid you know ...?

最近(英語圏の国の)街角でよく見かけるとても気になっている言葉があります。それは、例えば

Did you know tigers live only in Asia?

のように、トリビア的な知識を問うときにしばしば(私の経験では85%くらいの確率で)「Do you know ...?」ではなく「Did you know ...?」が使われるのです。

現在形と過去形のどちらが正しいのか、それともどちらでもいいのか、しばしば英語圏の英語学習サイトでも話題になっているようですが、人によって言っていることも違っていて、明確な答えは見つかりませんでした。

英語を含めて言葉というのは文脈の中で意味を持つものなので(つまり文脈がすべてなので)、文脈なしにどちらがいいとか悪いとか言えないのですが、私があれこれ調べた範囲では両者に大差はなく概ねどちらでもいいようです。

いろいろ議論がある中で私の心の中にすとんと落ちるものがあったのが、このページの回答なのでご興味ある方はぜひとも読んでみて下さい。その内容を要約すると概ね次のようなものです。

英語の過去形は「距離感」を表していて、それは時間における距離だったり現実との距離だったり心理的な距離だったりします。現在形の「Do you know ...?」にはあなたは知っているはずだ、私はそれを期待しているという「尋問」に近いような響きがありますが、過去形の「Did you know ...?」は「あなたはもしかすると聞いたことがあるかもしれませんが」くらいの遠回しで柔らかい感じがします。だから、過去形の場合は「あなたが知っていても知っていなくてもどちらでもいいのですよ。これから私が教えてあげますから...」となるのです。

だから、トリビア系の質問ではしばしば「Did you know ...?」が使われるわけですね。英語の過去形は本当に丁寧で美しいです。

ちなみに、トラはシベリアを含むアジアの生き物でアフリカには住んでいません。ご存知でしたか?(笑)

2013年7月19日金曜日

beautiful natureと言えない理由

「ここがおかしい 日本人の英文法II」という本に「「美しい自然」とは言えてもbeautiful natureと言えないのはなぜか」というトピックがありますが、これはとても難しいです。




Longmanではnatureを以下のように説明しています。

Nature [uncountable] everything in the physical world that is not controlled by humans, such as wild plants and animals, earth and rocks, and the weather

日本人の感覚だと「nature=自然」と自動的に訳してしまいがちですが、必ずしも私たちがイメージする自然を指すわけではないことがわかります。しかも、人間がコントロールすることができないこの世のすべてのものを含んでいるとのことです。

このようなすべてを含むnatureという単語に、beautifulという限定的な形容詞をつけることは英語的には不自然ということのようです。美しいnatureがあるなら美しくないnatureもあることになりますが、いろいろなnatureがあるのはロジックとしておかしいからです。

Longmanにはnatureの項目にちょうど以下のような例文がありました。

We grew up in the countryside, surrounded by the beauties of nature.

日本人はこういうときbeautiful natureと書いてしまいますが、natural beautyとかbeauty of natureという書き方がいいようですね。

一方、Yahoo!知恵袋には以下のような反論もありました。

1. 確かにNational Geographicサイトに限定すれば1件(one of the many beautiful nature photographs)だけですが、米政府系サイトでは多少あるので、一般的でなくても許容はされているのではないでしょうか。

2. googleで検索するとbeautiful natureは用例が5百万件も出て来ますが。

1.の反論はまずこの1件がおかしいです。beautiful nature photographsはbeautifulなphotographsを意味しているので、beautiful natureへの反証にはなりません。

2.についても、1.のような事例がすべてカウントされること、英語が母国語ではない、英語が得意ではない人が書いたものも含まれることを考えれば、これだけで反証にはならないでしょう。